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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題5】
子宮内膜明細胞腺がんと類内膜腺がんとの混合がんの1症例
河原井 麗正, 岩崎 秀昭, 小野 亜希子, 大見 健二, 西脇 哲二
千葉市立青葉病院産婦人科
【緒言】子宮内膜から発生するがんの大部分は類内膜腺がんであり,明細胞腺がんは3%といわれ,比較的稀である.今回,子宮内膜組織診で明細胞腺がんと類内膜腺がんとの混合がんと診断でき,手術および化学療法をおこなった症例を経験した.以前当科で加療した子宮内膜混合がん症例と比較検討し,報告する.【症例】57歳女性.閉経は54歳.4経妊3経産.性器出血を主訴に近医産婦人科を受診し,子宮体部細胞診で悪性の疑いがあり当科紹介受診となった.経腟超音波で子宮内腔に腫瘤を認めた.子宮内膜細胞診では,明細胞腺がんと類内膜腺がんがほぼ均等に認められた.混合がんが示唆された.子宮内膜組織診でも,明細胞腺がんと類内膜腺がんの2つの組織型を認めた.子宮内膜混合がんと診断し,腹式単純子宮全摘および両側付属器切除,骨盤リンパ節郭清をおこなった.腫瘍は子宮底部に外向性に発育し,子宮内膜に限局していた.両側卵巣は異状なし.病理結果は類内膜腺がんG1と明細胞腺がんが同量から成る混合がんであった.筋層浸潤は1/2以下で脈管侵襲はなかった.TNM分類は,pT1b, N0, M0であった.現在,TC(カルボプラチン+パクリタキセル)療法を実施している.【考察】子宮内膜がんはエストロゲンに依存するI型と依存しないII型に分けられる.類内膜腺がんはI型,明細胞腺がんはII型に分類される.この両者から構成される混合がんは稀と思われる.また,細胞診の段階で混合がんと診断し得た症例も少ないと思われる.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
297-297, 2012
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