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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題6】
当院の異所性妊娠(卵管妊娠)における卵管温存療法について
佐藤 団1, 石原 瑞葉1, 田中 理恵子1, 石寺 由美1, 北川 雅一1, 片山 佳代1, 村瀬 真理子1, 吉田 浩1, 平原 史樹2
横浜市立大学附属市民総合医療センター婦人科1, 横浜市立大学産婦人科2
【目的】過去5年間に当科で診療した異所性妊娠におけるMTX療法と卵管線状切開術について検討した.【対象】2007年1月より2011年7月までの5年間に当科で診療した卵管温存療法59例の内,待機療法25例を除いた卵管線状切開9例およびMTX療法25例を後方視的に解析した.【結果】卵管保存療法の中で線状切開術あるいはMTX療法のみで治癒しえたものはそれぞれ78%(7/9例),81%(22/25例)であった.線状切開を試みたものの,後に卵管切除を要したものは1例,また異所性妊娠存続症により追加のMTX投与を要したものが1例であった.MTX療法で追加の外科的治療を要したものは12%(3/25症例)であった.術後の患側卵管疎通性検査はMTX療法,線状切開をあわせた34例のうち22症例に施行され,疎通性の保たれたのはMTX療法では93%(14/15症例)であり,卵管線状切開例で14%(1/7例)と,卵管線状切開において疎通性不良例が多かった.MTX療法において成功例の治療前hCG平均値1849 IU/l,不成功例は4572 IU/lであった.また当院で施行した線状切開全症例の治療前hCG平均値は4926 IU/lであった.【結論】MTX療法における卵管疎通性は外科的治療への移行率も少なく良好な治療成績が得られた.一方,卵管線状切開例では卵管疎通性が極めて不良であった.治療前のhCG平均値からも卵管線状切開例はMTX療法の適応には適さないものが多く,MTX療法を選択できない進行した卵管妊娠例では,卵管機能温存目的に卵管線状切開を選択しても,良好な結果が得られない可能性が考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
299-299, 2012
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