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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題6】
子宮頸管妊娠5例の臨床的検討
多胡 佳織, 北原 慈和, 平石 光, 岸 裕, 五十嵐 茂雄, 峯岸 敬
群馬大学産婦人科
【目的】子宮頸管妊娠は,8,000〜18,000妊娠に1例,全異所性妊娠の約0.15%で,極めて稀な疾患である.頸管妊娠は,不用意な頸管内掻爬等により大出血を起こすことが多く,子宮全摘を余儀なくされることも稀ではない.近年,経腟超音波断層法が広く普及し,早期診断が可能となり,早期治療による子宮温存症例の報告が増加している.しかし,その治療に確立されたものは無く,安全且つ効果的な治療法が模索されている.我々は,過去7年間に5例の子宮頸管妊娠を経験したが,何れの例においても,子宮動脈塞栓術(UAE)を主として用いた保存的治療を行い,子宮の温存に成功している.これらの症例に関して,臨床的検討を行った. 【方法】2005年から2011年までに当院で経験した子宮頸管妊娠の5例につき,その背景及び診断,治療の経過を検討した. 【成績】症例は26〜36歳.全例,性器出血を主訴として受診した際の超音波検査で診断された.妊娠週数は5〜7週.胎児心拍を認めた例が1例あった.治療前hCGは3,544〜25,473IU/l.初回治療はUAEを選択し,その後妊娠組織除去を行った.何れの症例でも,UAE後に性器出血量が減少し,妊娠組織除去時の出血量は少量であった.治療後,全例で順調に血中hCGの低下を確認,その後月経の再開を確認した.1例は自然妊娠し,正期産で正常経腟分娩に至っている. 【結論】妊娠早期に子宮頸管妊娠と診断でき,何れの症例でも子宮の温存に成功した.また,これまでにUAEによる卵巣機能不全等の顕著な後遺症は経験していない.治療法としてはUAEが出血の抑制に有効と考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
300-300, 2012
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