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<< 学会誌へ戻る 【緒言】異所性妊娠の診断には，hCG測定が有用である．異所性妊娠を疑ったものの，hCG値解釈の誤りから診断確定に遅延が生じたと思われた症例を経験したので報告する．【症例】39歳，初妊婦．月経周期13日目にA医院で人工授精を受けた．妊娠4週1日（排卵日から推定）に性器出血がありB医院を受診した．血中hCGは1074（単位記載なし）で，子宮内に胎嚢像は見られず，異所性妊娠あるいは流産が疑われるとして，A医院に紹介された．その後，A医院では，hCG-βが漸減（7週4日65.8，9週0日44.0，9週6日24.9ng/ml）したこと，9週2日より月経様出血を6日間認めたことから，流産の可能性が高いと判断された．ところが，月経様出血開始から10日後（妊娠10週5日相当）の超音波検査で，右付属器領域に胎嚢様像を認めた．異所性妊娠の疑いとして当科に紹介された．当科初診時の血中hCGは3693 mIU/mlで，超音波検査で右卵巣と思われる部位に胎嚢様像を認め，同日腹腔鏡手術を施行した．右卵巣の腫大があり，右卵巣妊娠と診断して右卵巣部分切除術を施行した．術後経過は良好で，hCGは速やかに低下した．【考察】hCG値の測定には，α-subunitとβ-subunitの二量体を測定する系（mIU/ml）とfree β-subunitを測定する系（ng/ml）とがある．両者は相関するが，単位・値が異なることに注意が必要である．【結語】hCG値解釈の誤謬から診断が遅れた卵巣妊娠例を経験した．医療連携時には，測定値だけでなく測定系および単位についても記載することが必要である． 関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 301-301, 2012 |
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