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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題8】
当科において経験した入院時子宮内胎児死亡2例を含む常位胎盤早期剥離5例の検討
鈴木 円香, 小松 央憲, 栗原 務, 太田 克人, 伊藤 理廣
社会保険群馬中央総合病院産婦人科
常位胎盤早期剥離(以下早剥)は全妊娠の約1%に見られ,突然発症することが多くその予知は困難である.早期診断・早期対応が母児の予後を決定する重要なポイントとなり,特に初発症状出現から180分以上で児の死亡率は有意に高いといわれている.今回当科において2011年4月〜12月の間に入院時に子宮内胎児死亡(以下IUFD)2例を含む常位胎盤早期剥離の5例を経験した.入院時IUFDの2例(29歳0経産36週,28歳0経産37週)と生児を得た3例(32歳1経産39週,38歳3経産36週,32歳1経産33週)について背景・初発症状・経過・予後について若干の文献的考察を交えながら検討を行った.特に入院時IUFD群と生児を得られた群との差を比較したところ,入院時IUFDの2例ともに初発症状は下腹痛のみで性器出血はなく,受診までの時間が3〜4時間と時間の経過を認めたのに対し,生児を得られた3例では初発症状が性器出血で発症後すぐに受診となったため受診までの時間は1時間以内となっている.特に1例では妊娠高血圧症候群・前回早剥既往のため入院管理中の性器出血のため迅速な診断が可能であった.他の4例は妊娠高血圧症候群の既往及び今回妊娠中の発症は認めていなかった.早剥は早期診断・早期対応が重要であるが,突然の発症のため自宅で発症することがほとんどである.早期受診のために,早剥を疑う症状についての妊婦教育や医師・助産師の早期受診を指導する体制,軽微な症状であってもこまめに診察を行い,早期診断とすることが早剥における母児の予後改善に重要と考えられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
305-305, 2012
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