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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題8】
前置血管の2例
佐藤 美香, 飯塚 美徳, 野田 あすか, 岡山 佳子, 黒田 香織, 楯 健司
千葉市立海浜病院産婦人科
【緒言】前置血管は,破水により血管が破綻すると,胎児の失血から胎児死亡につながる可能性が高く,分娩前のスクリーニングが重要な疾患である.当科では1年間に2例の前置血管症例を経験したので,報告する.【症例】症例1は30歳,0経妊0経産,クロミフェンによる排卵誘発にて一絨毛膜二羊膜双胎妊娠が成立した.妊娠20週頃から低置胎盤を指摘されていた.妊娠23週に経腟超音波カラードプラを施行し,前置血管と診断された.妊娠31週から管理入院していたが,子宮収縮が増強したため,妊娠32週5日に緊急帝王切開術を施行した.症例2は40歳,0経妊0経産,体外受精新鮮胚移植にて妊娠が成立した.妊娠28週で,子宮頸管長を測定するため経腟超音波を施行したところ,内子宮口付近に索状影を認めた.カラードプラにて血流を認め,臍帯下垂が疑われた.30週で経腟超音波カラードプラを再検したところ,血管は静脈1本のみであることがわかり,前置血管が疑われた.MRIで胎盤は前壁正置であり,臍帯の卵膜付着による前置血管と診断した.妊娠34週から管理入院し,妊娠36週5日に選択的帝王切開術を施行した.【考察】前置血管は分娩前に診断し,破水前に帝王切開を施行することが重要である.今回の2症例は,分娩前に診断し,破水前に帝王切開を施行することで生児を得ることができた.症例2では,臍帯卵膜付着の診断が困難であったが,経腟超音波でカラードプラを用い,前置血管を同定することができた.前置血管を含めて臍帯や胎盤の異常は,分娩前に診断することが重要であり,スクリーニング体制を各施設で整えることが望ましい.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
306-306, 2012
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