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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題9】
重篤な転帰をたどった脳血管障害合併妊娠の2例
鈴木 志帆, 三谷 穣, 金野 潤, 嶋田 悦子, 小川 正樹, 牧野 康男, 松田 義雄, 松井 英雄
東京女子医科大学産婦人科
脳内出血などの脳血管障害は妊娠中の循環動態の変化による影響を受ける危険を有する.今回我々は重篤な転帰をたどった妊娠中の脳血管障害を2例経験したので報告する.症例1は42歳,3経妊1経産婦.23歳で脳動脈奇形(AVM)を指摘され,以後近医脳外科にて外来管理されていた.妊娠が判明し,脳外科主治医と相談.危険が高いことを説明されたが,妊娠継続を希望し,当院へ紹介受診となる.妊娠中のリスクが非常に高いことを説明したが,妊娠継続を強く希望されたため,以後当院にて妊婦健診を施行.妊娠28週3日,意識混濁あり当院へ救急搬送され,AVMによる脳出血の診断にて同日開頭血腫除去,AVM摘出術施行される.術後全身状態は安定していた.術後の脳血管造影にてAVMの残存を認め,再出血の危険あるため,妊娠32週4日選択的帝王切開術施行となった.症例2は36歳の初妊産婦,1型糖尿病にて当院糖尿病内科で管理されていた.当科にて妊婦健診を受けていたが,特に異常なく経過していた.妊娠24週2日,頭痛と嘔吐を訴え当院搬送入院となる.意識レベルJCS200,CTにてもやもや病による脳室内出血と診断され,同日当院脳外科にて脳室ドレナージ施行.以後状態安定.脳外科と相談し,妊娠35週で帝王切開の方針となったが,妊娠34週4日,意識レベル低下あり,頭部CTにて再度脳室内出血を認めた.脳外科と相談し,脳室ドレナージを行いと同時に帝王切開を行う方針とした.脳室ドレナージ後に帝王切開施行.分娩後のCTにて血腫の増大を認め開頭血腫除去術施行となるが状態改善せず,術後6日目に死亡した.妊娠は脳出血のリスクとなるが,その管理方針は一定しておらず,今後検討が必要と考えられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
308-308, 2012
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