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<< 学会誌へ戻る 【緒言】体外受精・胚移植にて妊娠が成立し，卵巣腫大が原因と考えられる卵巣茎捻転を起こした症例を経験した．手術時に稽留流産と診断されていたため腹腔鏡下茎捻転解除術を行ったが，妊娠中の腹腔鏡下手術に関しても文献的考察を交えて報告する．【症例】38歳1経妊1経産．腹腔鏡下子宮筋腫核出術既往あり．再婚後1年間他院でタイミング療法を行ったが妊娠せず，当院受診．不妊因子として卵管因子を認め，体外受精を行う方針となりhMG-GnRH antagonist法で採卵・胚移植に至った．妊娠4週で妊娠反応陽性，妊娠5週5日に胎嚢を確認，両側卵巣腫大と血液濃縮を認め予防的にバイアスピリンを内服開始．妊娠8週に児心拍を確認した．そのころから下腹痛を認め，妊娠9週2日に腹痛が増強し救急外来受診．右卵巣は6cm大，左卵巣は10cm大に腫大し，児心拍は認めず稽留流産の診断であった．左卵巣に一致した痛みは自然軽快し，炎症所見は軽度，一時的な捻転の可能性もあったがOHSS傾向としても矛盾せず，緊急手術の可能性も十分に説明の上一旦帰宅．帰宅直後から痛みが再燃し，再来院．左下腹部の腫大卵巣に一致して激痛あり，圧痛著明．茎捻転を疑い手術となった．腹腔鏡下左卵巣茎捻転解除術と同時に子宮内容除去術を施行．左卵巣は360℃捻転していた．術後経過良好であり術後2日目に退院となった．【考察】排卵誘発施行後の妊婦の下腹痛には，卵巣茎捻転や内外同時妊娠など，生殖医学特有疾患の可能性も念頭において対応すべきと思われる．当院では現段階では妊娠中の腹腔鏡下手術を行っていない．本症例は結果的に流産であったが，今後症例によっては妊娠中の腹腔鏡下手術の施行を検討する必要がある． 関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 312-312, 2012 |
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