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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題11】
妊娠中に発症した血球貪食症候群の3例
青野 抄子, 仲村 将光, 小出 馨子, 長谷川 潤一, 松岡 隆, 市塚 清健, 関沢 明彦, 岡井 崇
昭和大学医学部産婦人科学教室産婦人科
妊娠中に発症した血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome,HPS:マクロファージの異常活性化によって多臓器が障害される症候群)を3例経験した.本発表は,本学倫理委員会の規定に則り行った.【症例1】19歳,0G.妊娠32週,重症肺炎の診断で搬送入院.黄疸(+),体温39.0℃,WBC 4700/μl, Hb 11.3g/dl, Plt 8.6万/μl, T-Bil 5.3g/dl, D-Bil 3.6g/dl, AST 57 IU/l, ALT 26 IU/l, LDH 486 IU/l, CRP 8.8mg/dl.確定診断に至らずも母体適応で妊娠34週帝王切開.術後,骨髄穿刺でHPSと診断し,ステロイド,免疫抑制剤治療を行った.【症例2】34歳,1G0P.妊娠11週,体温39℃の熱発と汎血球減少のため,骨髄穿刺でHPSと診断.黄疸・肝脾腫(-).体温37.3℃,WBC 3100/μl, Hb 9.0g/dl, Plt 3.9万/μl, T-Bil 0.4g/dl, D-Bil 0.1g/dl, AST 152 IU/l, ALT 116 IU/l, LDH 995 IU/l, CRP 4.58 mg/dl.ステロイド,大量γグロブリン療法,シクロスポリンで軽快し,妊娠を継続した.【症例3】27歳,0G.妊娠29週,高熱,肝脾腫(+).体温38.5℃,WBC 4300/μl, Hb 10.7g/dl, Plt 4.5万/μl, T-Bil 3.5g/dl, D-Bil 2.0g/dl, AST 236 IU/l, ALT 176 IU/l, LDH 695 IU/l, CRP 11.95 mg/dl.骨髄穿刺でHPSと診断,γグロブリン療法で軽快した.【考察】HPSが妊娠中に発症した場合,感染症,HELLP症候群や妊娠性脂肪肝との鑑別が必要なため診断が遅れやすい.持続する高熱,汎血球減少,肝機能障害,高LDH血症を認めた時はHPSを疑い,妊娠中であっても積極的に骨髄穿刺を行うことが重要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
314-314, 2012
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