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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題12】
卵巣成熟嚢胞性奇形腫に合併した抗NMDAR脳炎の2症例
竹原 啓, 若山 彩, 濱野 恵美, 加藤 雄一郎, 千田 裕美子, 多々内 友美子, 望月 修, 宇津 正二
聖隷三方原病院産婦人科
抗NMDAR(N-methyl-D-aspartate receptor)脳炎は2007年Dalmauらにより提唱された傍腫瘍性辺縁脳炎である.グルタミン酸受容体であるNMDARのNR1/NR2ヘテローマを卵巣奇形腫が発現し自己抗体が産生され,急性脳炎を発症する.今回我々は卵巣成熟嚢胞性奇形腫を合併した抗NMDAR脳炎の2例を経験したので報告する.【症例1】22歳,0G0P.発熱・頭痛・嘔吐後に統合失調症様症状を発症し,精神科に入院.不穏状態であり,呼吸状態も悪化したため鎮静下に挿管管理開始.ウイルス性脳炎疑いにてアシクロビル投与,ステロイドパルス療法施行.ウイルス検索は陰性.エコーにて右卵巣奇形腫を指摘され,発症後51日目に右付属器切除術を施行.病理診断は成熟嚢胞性奇形腫.術後,IVIGを施行.後日,血清・髄液の抗MNDAR抗体が陽性と判明.現在も意識障害,不随意運動は持続している.【症例2】26歳,0G0P.頭痛の後に統合失調様症状を発症し,精神科に入院.痙攀を発症し鎮静下に呼吸器管理開始.ウイルス性脳炎疑いにて,アシクロビル投与も,ウイルス検索は陰性.エコーにて左卵巣奇形腫を指摘され,発症後6日目に嚢腫核出術施行.病理所見は成熟嚢胞性奇形腫.術後,IVIGを施行.現在も不随意運動随意運動を認め,鎮静下に呼吸器管理中である.【結論】感冒後に統合失調症様の精神症状で急性発症した若年女性をみたら,まず本疾患を疑い,卵巣奇形腫があれば早期の腫瘍切除を考慮すべきである.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
318-318, 2012
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