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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【一般演題12】
妊娠中に脱落膜変化を認めた子宮内膜症性嚢胞の1例


山本 健太郎, 秋山 瑞紀, 原田 寛子, 彦坂 慈子, 堀井 真理子, 真島 実, 百枝 幹雄, 山中 美智子, 塩田 恭子, 齊藤 理恵, 堀内 洋子, 秋谷 文
聖路加国際病院産婦人科


 子宮内膜症性嚢胞は,妊娠中に嚢胞壁に脱落膜変化を生じることがあり,悪性腫瘍との鑑別が困難なことがある.今回,妊娠中に壁在結節を伴う内膜症性嚢胞が指摘されたが,脱落膜変化と考え経過観察を行い,帝王切開と同時に左卵巣嚢腫摘出術を施行して,病理組織学検査で脱落膜変化と診断された1例を経験したので報告する.症例は40歳の初産婦.自然妊娠.妊娠13週に当院を初診し,4×3cm大の左卵巣嚢胞を認めた.妊娠19週に,卵巣嚢胞は6×4cm大と増大し内部に充実部分を認めた為,MRIを撮影したところ,卵巣嚢胞の充実部分は平板状に広範囲で認められ,又T1:low,T2:highの所見から内膜症性嚢胞の脱落膜変化が考えられた為,経過観察をした.妊娠28週に再度MRI検査を行ったが所見に大きな変化はなく,腫瘍マーカー(CEA:0.5ng/ml,CA19-9:20.8U/ml, CA125:49U/ml)も明らかな上昇を認めなかった.その他,妊娠経過に大きな異常なく,妊娠38週6日に陣痛発来し,妊娠39週0日に児心拍異常の適応で緊急帝王切開術を施行し,2884g女児,Apgar score8点/9点であった.同時に,左卵巣嚢腫摘出術を施行した.嚢腫壁内腔は緑色小隆起を多数認め,嚢腫内容液は緑色泥状であった.病理検査では内膜症性嚢胞の脱落膜変化で,悪性所見は認められなかった.内膜症性嚢胞の脱落膜変化は悪性腫瘍との鑑別が困難であり妊娠中に卵巣嚢腫摘出術が施行されることもあるが,本症例では比較的早期に超音波検査,MRIで診断し,経過観察を行うことができた.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 319-319, 2012


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