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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題13】
子宮全摘術施行15年後に,腟断端に発生した子宮内膜症由来の類内膜腺癌の1例
錬石 和明, 笠井 靖代, 山田 学, 安藤 一道, 石井 康夫, 宮内 彰人, 杉本 充弘
日本赤十字社医療センター産婦人科
子宮内膜症は類内膜腺癌の発生リスクとされる.今回,15年前に子宮内膜症と子宮筋腫の診断で単純子宮全摘術を施行後,不正性器出血を主訴に来院し,類内膜腺癌と診断され治療を行った1例を経験した.症例は,53歳0回経妊0回経産で,不正性器出血を主訴に近医婦人科を受診した.腟断端より出血を認め,血腫の疑いで当院紹介受診した.腟断端6時方向,腟入口部から6〜7cmに表面粗造な易出血性2cm大の硬結を触知した.直腸粘膜の連続性は保たれていた.画像検査でダグラス窩に造影効果を伴う26×21×27mm大の腫瘍が認められた.腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.腫瘍生検では類内膜腺癌と診断された.また,15年前に子宮内膜症と子宮筋腫の診断で当院で単純子宮全摘術を施行した.入院後,腫瘍摘出術,両側付属器切除術,骨盤リンパ節郭清術を施行した.腹水細胞診でも悪性細胞は認めなかった.病理組織診では,27×19×22mm大の腟腫瘍を認め,類内膜腺癌と子宮内膜症性病変が連続して存在したため,子宮内膜症由来の類内膜腺癌と診断された.基靭帯への浸潤も一部認め,リンパ管と静脈に高度の侵襲を認めたが,リンパ節への転移は認めなかった.両側卵巣には悪性細胞を認めなかった.一般的に,内膜症由来の類内膜腺癌は多数報告されているが,15年前に子宮全摘術が施行された後に類内膜腺癌が発見された症例の報告は極めて稀であった.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
320-320, 2012
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