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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【一般演題13】
潰瘍形成を伴った外陰部基底細胞癌の1例


伊田 勉, 北脇 佳美, 三輪 玲亜, 馬場 慎司, 中村 浩敬, 石井 加奈子, 山下 有加, 若松 昌臣, 高野 みずき, 小池 和範, 光山 聡, 桑江 千鶴子
東京都立多摩総合医療センター産婦人科


【緒言】基底細胞癌は頻度の高い皮膚癌であるが,顔面などの露出部に多く発生し,外陰部などの非露出部に発生することは非常に稀である.放置すると局所破壊性を示すが,遠隔転移を起こすことは少ない.今回我々は,外陰部に発生し潰瘍形成を伴った基底細胞癌の1例を経験したので報告する.【症例】70歳,2経妊2経産.20年ほど前より外陰部に皮疹があり,近医にて生検によりヘルペスと診断され断続的に治療を受けていた.病変は完全に消失することはなく,5年ほど前からは通院を中止していた.2ヶ月前より病変の拡大と掻痒を自覚したため,他院を受診.外陰部潰瘍を認め,精査加療目的に当院紹介受診した.初診時,右大陰唇から小陰唇に広がる5cm大の赤色瘢痕を認め,内部には不整な潰瘍や色素沈着が散在していた.擦過細胞診は異常なく,ヘルペス抗原は陰性であった.生検にてbasal cell carcinomaを認め,全身検索にて遠隔転移を認めなかったため,皮下を含めた広範囲腫瘍切除術を施行した.術後経過は良好で現在まで18ヶ月再発なく経過している.【結語】稀な症例である外陰部基底細胞癌の1例を経験した.本症例においては慢性化した外陰部ヘルペスの既往があり,慢性的な皮膚刺激が発生に影響している可能性が考えられた.比較的経過の長い外陰部腫瘤や外陰部潰瘍では基底細胞癌も鑑別として考える必要があると考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 321-321, 2012


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