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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題14】
脂肪平滑筋種の一例
塩澤 正之1, 太田 剛志1, 荻島 大貴1, 小倉 加奈子2, 松本 俊治2
順天堂大学産婦人科1, 順天堂大学病理検査科2
【緒言】脂肪平滑筋腫の一例を経験したので,文献的考察を交え報告する.【症例】48歳女性,2経妊2経産.月経不順,貧血を主訴に近医受診し,卵巣腫瘍の疑いで当院紹介受診となった.経膣超音波断層法では左卵巣に約88mm大の単房性で充実成分を伴わない腫瘤を認めた.MRIでは子宮頚部から膀胱子宮窩にかけ連続する約90mm大の不均一な腫瘤性病変を認め,T1WI,T2WIともに高信号で脂肪抑制を受け,かつ造影増強効果を伴った.変性の強い漿膜下筋腫あるいは子宮肉腫の疑いで開腹手術の方針となった.腹腔内所見は,黄色調で通常の平滑筋腫よりも軟らかい,子宮頚部から膀胱子宮窩に向け発育する漿膜下筋腫様の腫瘍で,術中迅速病理診断は血管筋脂肪腫であった為,単純子宮全摘術および左付属器切除術を施行した.術後病理診断では,肉眼像で子宮左側壁に漿膜下筋腫様に発育する10cm大の軟らかな腫瘍を認め,組織学的には,紡錘形の平滑筋細胞の増生とともに成熟脂肪細胞が多数混在して観察された為,脂肪平滑筋腫と診断した.【考察】脂肪平滑筋腫は平滑筋腫の亜型とされ,文献的には全平滑筋腫の2%とされる.良性腫瘍であるが通常の平滑筋腫と同様にごく稀に肺転移等を起こし得る.鑑別疾患としては本症例のように血管筋脂肪腫や脂肪肉腫が挙げられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
324-324, 2012
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