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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題14】
parasitic myomaが原因で左付属器を茎捻転させた急性腹症の1例
中川 侑子1, 大熊 克彰1, 秦 ひろか1, 吉田 彩子1, 鈴木 直2
川崎市立多摩病院産婦人科1, 聖マリアンナ医科大学病院産婦人科2
今回我々は,有茎性漿膜下筋腫の茎捻転後のparasitic myomaが原因で,さらに左付属器を茎捻転させ急性腹症を呈した一例を経験したので報告する.症例は42歳の未経妊,現病歴は4年前に子宮筋腫と卵巣嚢腫を指摘されたがその後放置していた.月経4日目の深夜に突然の左下腹部痛と嘔吐が出現し,その後も症状の改善がないため当院救急センターへ搬送となる.腹部所見では左下腹部に自発痛と圧痛を認めた.明らかな腹膜刺激症状は認めなかった.血液検査所見にも異常は無かった.下腹部CTでは骨盤内に約8cm大の卵巣腫瘍と思われる腫瘤を認め,茎捻転の疑いで産婦人科へコンサルテーションとなった.内診と経腟超音波検査では子宮には小さい筋腫が多発していた.また,両側の卵巣は正常大で左卵巣付近に約8cm大の腫瘤を認めた.傍卵巣嚢腫か漿膜下筋腫などが考えられた.左下腹部痛も周期的で茎捻転が強く疑われたために緊急開腹術を施行した.開腹所見では大網に包まれた約8cm大の腫瘤が左付属器と癒着しており,左骨盤漏斗靭帯の茎捻転を起こし左卵巣は壊死していた.このため左付属器は切除した.癒着した大網を剥離していくと,その骨盤内腫瘤は発生部位が同定できない一部大網血管から栄養された充実性腫瘤であった.術後病理では,骨盤内腫瘤の大部分は壊死組織で一部紡錘様の痕跡が認められ,平滑筋腫であった可能性が示唆された.本症例は手術歴がなく,何らかの原因で有茎性漿膜下筋腫が子宮との連続性を失いparasitic myomaとなり,これが二次的に左付属器と癒着して左付属器を茎捻転させて急性腹症を呈したと考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
325-325, 2012
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