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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題14】
悪性疾患との鑑別に苦慮し,腹腔鏡下生検にて診断し得た若年性子宮腺筋症の1例
樋口 隆幸, 藪野 彰, 浅井 哲, 林 保良, 鈴木 毅, 原田 佳奈, 安達 将隆, 黒田 恵子, 金 善惠, 村越 行高, 染谷 健一, 岩田 壮吉
川崎市立川崎病院産婦人科
子宮腺筋症は子宮内膜が子宮筋層内で異所性に増殖して月経困難症や過多月経などの症状をきたす疾患であり,その診断は超音波断層法やMRIなどの画像検査によって容易であることが多い.今回我々は,若年女性でMRI上非典型的な所見を示し,悪性疾患も疑われたが,腹腔鏡下生検を行って子宮腺筋症の診断に至り,ホルモン療法によって良好な経過を得た1例を経験したので報告する.症例は19歳,0経妊0経産.過多月経を主訴として前医を受診し,画像上子宮内腔を占拠して腟内にも突出するポリープ様腫瘤を指摘され,当院に紹介受診となった.MRIでは子宮内膜のポリープ様病変が連続性をもって筋層内にも広範囲に認められ,子宮内膜間質肉腫などの悪性疾患も疑われる所見であった.腟内腫瘤の組織診の結果が子宮内膜ポリープであったため,子宮鏡下手術を試みたが,筋層内病変は切除不能であり,内膜病変のみの切除となった.その病理組織検査でも悪性所見は認められなかったが,術直後のMRIでは筋層内病変の若干の増大が認められ,依然として悪性疾患が否定できないと考えられた.FDG-PETでも子宮に集積が認められた.追加治療として子宮全摘も検討したが,若年であることを考慮し,また方針決定にあたり筋層内病変の組織診断を得るべきであると判断して,腹腔鏡下手術で子宮筋層を切開し病変のサンプリングを施行した.その結果,子宮腺筋症の病理組織診断が得られたため,術後GnRHアナログの投与を開始したところ,MRIで病変の著明な縮小が確認された.さらにレボノルゲストレル放出子宮内避妊システムの装着を追加したところ,過多月経の症状は改善し病変もほぼ消失しており,臨床的に寛解状態となっている.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
326-326, 2012
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