|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題14】
尋常性ざ瘡の治療に使用したスピロノラクトンが月経随伴症状の改善に有効であった子宮腺筋症の1例
栗下 昌弘1, 鳥羽 三佳代2, 池野 宏3
国家公務員共済組合連合会東京共済病院婦人科1, 東京医科歯科大学付属病院周産・女性診療科2, 池野皮膚科形成外科クリニック皮膚科形成外科3
スピロノラクトンは,抗アルドステロン性利尿・降圧剤として,高血圧症,うっ血性心不全などの疾患において内科領域で頻用されている薬剤である.尋常性ざ瘡の重症例や難治例に奏功することが報告されて以来,皮膚科や婦人科領域での使用頻度も増加している.当科で子宮腺筋症の管理中に,皮膚科クリニックにて,再発を繰り返す尋常性ざ瘡にスピロノラクトンが処方され,過多月経,月経痛が著明に改善した症例を経験したので報告する.【症例】43歳の既婚未産婦.挙児希望なし.X-10年他院にて子宮筋腫を指摘され,過多月経,月経痛緩和のためにGnRHaを4クール施行した.その後,症状再燃のため転院,子宮腺筋症と診断され,ダナゾール,ピル,ジェノゲストなどのホルモン治療を行うも副作用出現のため中止.X年,過多月経,激しい月経痛,排卵痛を主訴に当科初診となった.鉄剤の服用によりHb値は14.0g/dlであった.根治的手術療法を提示したが,NSAIDsによる待機療法を希望した.6か月後の再診時のHbは11.8g/dlと低下,この間もNSAIDsを4時間おきに使用する状況が続いていた.その後,尋常性ざ瘡に対して皮膚科クリニックでスピロノラクトンを処方されていた約4か月間は,月経随伴症状は軽くなり,NSAIDsは使用しなかったことを告げられた.この間の血液生化学検査も正常であった.【考察】皮膚科クリニックでは本症例を含め11例の尋常性ざ瘡に対してスピロノラクトンを使用しているが,6例が月経随伴症状の改善をみている.スピロノラクトンと月経随伴症状との関連報告は皆無である.スピロノラクトンの薬理作用から月経随伴症状の改善効果の機序を探り,月経困難症改善薬となりうるか,検討した.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
326-326, 2012
|