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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【一般演題15】
腹水貯留を認めなかった胎便性腹膜炎の一例


平野 結希, 佐藤 茂, 簡野 康平, 佐柄 祐介, 西村 修, 近藤 朱音, 石本 人士, 和泉 俊一郎, 三上 幹男
東海大学医学部専門診療学系産婦人科


【諸言】胎便性腹膜炎は胎児期に何らかの原因により腸管穿孔をきたし,胎便が腹腔内に漏出して生じる化学性腹膜炎である.超音波診断技術の向上により胎内診断例も多いが,病態が多様であり臨床像が刻々と変化することから診断に苦慮する例も存在する.今回我々は,妊娠経過中に典型的な胎児腹水を認めず,胎内診断が困難であった本症の一例を経験したので報告する.
【症例】40歳,8経妊3経産.胎動を自覚したため近医受診し妊娠が判明,受診時のBPDより24週1日と週数決定された.この時点で明らかな胎児異常所見は指摘されなかった.うつ病合併妊娠のため妊娠30週に当院紹介受診.AC33.0cm(5.3SD)と増大を認め,胎児腹腔内に多数の隔壁を伴う嚢胞性病変,羊水過多,陰嚢水腫を認めたが,腹水は認めなかった.同日,規則的な子宮収縮を認め切迫早産の診断にて入院管理となり,塩酸リトドリン持続静注を開始した.その後,羊水過多の増悪を認め,妊娠31週,32週時に2000ccずつの羊水除去を余議なくされた.胎児腹腔内の嚢胞性病変は超音波での検索毎に性状に変化を認めた.妊娠32週6日に完全破水し,緊急帝王切開術施行となった.児は2925gの男児,Apgar score8/9(1分/5分).出生後,上腹部正中に46×20mm大の腫瘤性病変を認め,腸管エコー輝度が高く,X-rayにて淡い石灰化を認めた.徐々にイレウス症状増悪したため日齢10に緊急試験開腹術施行.回腸末端部に穿孔部位を認め回腸瘻造設となった.以上の経過より胎便性腹膜炎と診断された.
【結語】胎便性腹膜炎の経過は多様であり,腹水を認めなかった場合でも経時的に変化する嚢胞像を認めた場合には本症の可能性を念頭に置いた対応が必要である.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 328-328, 2012


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