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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【一般演題16】
クローン病合併妊婦に発症した新生児ビタミンK欠乏性出血症の1例


太田 好穂, 神藤 里枝, 岸本 彩子, 松本 雅子, 下山 華, 幸村 友季子, 古田 直美, 内田 季之, 鈴木 一有, 杉原 一廣, 伊東 宏晃, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科


【諸言】新生児ビタミンK(以下VK)欠乏性出血症は,生後2〜4日目に発症することが多い重篤な疾患であるが,VKの予防投与法の確立によりその頻度は減少している.今回我々は,生後1日目に発症した,母体クローン病の合併が原因と考えられる新生児VK欠乏性出血症の1例を経験したので報告する.【症例】34歳,1経妊1経産31歳にて3370gの男児を正常分娩.17歳よりクローン病があり,28歳時には腸閉塞のため開腹手術を受けた既往がある.その後もメサラジン1500mg/日の内服を継続.妊娠29週より当科にて妊婦健診を施行.胎児発育には異常を認めず経過順調であった.母体も著明な下痢などの症状はなく順調に経過し,妊娠37週2日に骨盤位の適応にて選択的帝王切開術を施行し,2778gの女児を分娩した.【新生児の経過】生後1日目に背部の皮下血腫および体幹の点状出血を認め,血液凝固異常症の疑いにてNICU入院となった.血液検査にて,Hb5.8g/dLと重度の貧血を認め,凝固系検査は,PT10%以下,aPTTT11%,フィブリノーゲン119mg/dlと著明に低下しており,凝固因子の産生異常による出血を疑いビタミンK2を2mg投与後FFP20mlならびにRCC40mlの輸血を行った.後に判明した検査結果にて,VK依存性の凝固因子の著明な低下を認め,またPIVKAが117000と上昇しており,新生児VK欠乏症と診断した.その後の児の経過は順調であり生後19日目に退院となった.【考察】健康な妊婦では母児共にVK欠乏症が発症することはまれであるが,クローン病患者においては腸内細菌叢の異常や吸収障害によりVK欠乏を発症することがあるので注意を要する.このため現在はハイリスク症例において妊娠中の凝固系検査を積極的に行っている.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 331-331, 2012


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