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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題16】
児の好酸球増多症による胎児消化管出血が疑われた1例
菅野 俊幸, 村岡 光恵, 三邉 麻理子, 河原 且実, 井出 早苗, 真井 英臣, 長野 浩明, 高木 耕一郎
東京女子医科大学東医療センター産婦人科
【緒言】新生児期の好酸球増多症は,ミルクアレルギーなどのアレルギー性腸炎・消化管出血に関連するが,稀に経腸栄養開始前に消化管出血を生ずる例が報告されている.また,胎児貧血に伴う胎児心拍数波形異常の出現はよく知られている.今回我々は基線細変動消失により緊急帝王切開で出生した児で,好酸球増多と共に胎児期の消化管出血が疑われた症例を経験したので報告する.【症例】25歳,女性,1経妊1経産,既往歴特記事項なし,自然妊娠後に当院にて妊婦健診施行.問題なく経過.妊娠38週5日,2日前からの日中胎動減少感及び出血を主訴に来院し陣痛発来の診断で入院.入院後,超音波検査にて胎盤に明らかな異常所見なし.BPS 8/8,NSTにて基線細変動減少認めたが,分娩の進行を認めたため,連続胎児心拍モニタリング下に経過観察.その後,徐々に胎児頻脈傾向となり,基線細変動消失を認め,gradeAで全身麻酔下に緊急帝王切開術を施行した.羊水は暗褐色であったが胎盤早期剥離の所見は認めなかった.児は3,506 g(AFD),♂,Ap 8/8,直ちに啼泣あり,UApH 7.31,UVpH 7.36,UABE -2.6であった.児は出生直後よりApt試験陽性の血便を排出,NICUに入院.明らかな貧血はなかったが,胎児期の消化管出血が疑われた.児は好酸球増多を認め,日齢4日目まで血便を認めたが,その後,哺乳は良好で血便は消失した.【考察】胎児が原因不明の消化管出血により胎児貧血となり,基線細変動消失に至った可能性が示唆された.胎児消化管出血の原因につき文献的に考察する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
332-332, 2012
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