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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題17】
初発症状の異なった成人型顆粒膜細胞腫の2例
浅田 佳代, 川名 敬, 井上 知子, 平田 哲也, 曾根 献文, 吉野 修, 織田 克利, 中川 俊介, 矢野 哲, 上妻 志郎, 武谷 雄二
東京大学産婦人科
【緒言】成人型顆粒膜細胞腫は境界悪性群に分類される性索間質性腫瘍である.月経異常や不正性器出血など多彩な臨床症状を呈するため,診断に苦慮することも多い.我々は閉経前後各々に,異なる初発症状を伴って発症した成人型顆粒膜細胞腫の2例を経験したので特異的なホルモン値の検索も交えて報告する.【症例】症例1 32歳,1G0P.続発性無月経と不妊のため近医にて不妊治療を受けていた.TV-US, MRIにて6cm大の内部均一な充実性腫瘤と出血を伴う嚢胞様構造が指摘された.腫瘍マーカーの上昇なく,ホルモン値はE2 41.9 pg/ml, FSH 3.8 mIU/ml, LH 23.2 mIU/mlであった.顆粒膜細胞腫を考え開腹手術を行った.術中診断にて顆粒膜細胞腫であり,妊孕性温存も考慮し右付属器切除+部分大網切除術を施行した.術後月経が発来し,ホルモン値も正常化した.術前後でのインヒビンB値は404→10以下pg/mL,AMH値は12.1→3.1ng/mLとなった.症例2 65歳,3G2P.不正性器出血を主訴に受診,子宮内膜増殖症に対し加療されていた.TV-US, MRIにて5cm大の隔壁構造を思わせる一部充実部を伴う嚢胞性腫瘤が指摘された.腫瘍マーカーの上昇なく,ホルモン値はE2 37.4pg/mL, FSH 17.0mIU/mL, LH 43.1mIU/mLであった.顆粒膜細胞腫を考え開腹手術とした.術中診断にて顆粒膜細胞腫であったため,単純子宮全摘術+両側付属器切除+部分大網切除を施行した.術後ホルモン値の正常化を認めた.【考察】腫瘍摘出によりホルモン状態が正常化した成人型顆粒膜細胞腫の2例を経験した.ホルモン異常に伴う症状を念頭に置いた現病歴の聴取が診断に重要である.インヒビンBやAMHが顆粒膜細胞腫の特異的なマーカーであると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
335-335, 2012
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