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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題18】
バセドウ病を合併した悪性卵巣甲状腺腫の1例
鈴木 義也1, 木村 博昭1, 羽生 祐二1, 江口 修1, 神山 正明1, 平田 貴2
国保直営総合病院君津中央病院産婦人科1, 国保直営総合病院君津中央病院放射線科2
【緒言】卵巣甲状腺腫は胚細胞腫瘍の奇形腫に属する腫瘍で,全卵巣腫瘍の0.3%を占める.その悪性化の頻度は5-10%とされ,バセドウ病など甲状腺機能異常の合併の報告はわずかしかない.今回,われわれは術前にバセドウ病と診断しMMIにより甲状腺機能を正常化し,開腹手術を行った悪性卵巣甲状腺腫の1例を経験したので報告する.【症例】41歳3G3P. 200X年8月下腹部痛主訴に当科初診.超音波検査で10cm大の左卵巣腫瘍と診断.腫瘍マーカーはCA19-9 8.0U/ml CA125 43.7U/mlであった.MRIでは左卵巣に多房性嚢胞性腫瘍を認め,嚢胞の一部ではT2強調像で低信号を示しており,単純CTでは同部位は高吸収を示し,左卵巣甲状腺腫疑いとなった.甲状腺検査を行ったところTSH<0.010μIU/ml FT3 5.29pg/ml FT4 2.20ng/dl TSH受容体抗体(III)4.9%でバセドウ病と判明した.代謝内分泌科へ紹介しMMI 15mg/dayを開始した.CT上遠隔転移なく悪性所見を認めなかったのでeuthyroidとなった時点で開腹手術方針とした.200X年12月開腹左付属器切除術施行.術後病理結果は腫瘍の嚢胞壁内に甲状腺組織を含み,一部に乳頭状構造を呈した腫瘍細胞が増殖しmalignant struma ovarii pT1aであった.【結語】本症例のように卵巣甲状腺腫の特徴的な画像所見を有している場合,診断の手がかりとなる.悪性卵巣甲状腺腫とバセドウ病の合併に関して文献的考察をふまえて報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
337-337, 2012
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