|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題18】
多彩な組織型を含む卵巣原発carcinosarcomaの1症例
柿栖 睦実, 森 瑛子, 加藤 雅彦, 糸井 博美, 間瀬 有里, 立山 尚子, 西田 直子, 深見 武彦, 松島 隆, 土居 大祐, 可世木 久幸, 朝倉 啓文
日本医科大学武蔵小杉病院女性診療科・産科
卵巣原発の癌肉腫は非常にまれな疾患で全卵巣悪性腫瘍の中でも1%以下である.今回我々は卵巣原発の癌肉腫を経験した. 症例は70歳3経妊3経産,既往歴・家族歴に特記すべき事なし.下腹痛と腹満感を主訴に前医受診,骨盤内腫瘤を指摘され精査加療目的に当科紹介受診となった.初診時の内診所見は左付属器に小児頭大の腫瘤触知,可動性なし,右付属器は不明瞭.経腟超音波にてダグラス窩に,ほとんどが充実性成分(14×10 cm以上)である腫瘍を認めた.MRIでも同様の所見であり,CTにては遠隔転移の所見はなかった.血算は正常であったが,LDH;287 IU/l,CA125;118 U/mL,SCC;3.3 ng/mLが上昇していた.手術所見は,少量の血性腹水(class V),左卵巣が小児頭大に腫大,後腹膜,子宮,卵管との癒着を強固に認め,一塊としては摘出が困難で剥離による出血を多くともなった.単純子宮全摘術+両側付属器切除術+大網切除術を施行した.残存病変は1cm2以下であった.病理組織検査にてcarcinosarcoma, heterologous type, FIGO IIIb(pT3bNxM0)と確定診断した.大部分はpsammoma bodyを伴ったserous adenocarcinomaの像で,一部endometrioid adenocarcinomaやsquamous cell carcinomaが混在していた.その一方で,chondrosarcomaやrhabdomyosarcoma,osteosarcomaの成分も見られた.術後はTC療法を施行中である. 本疾患は予後不良で,5年生存率7.5%と言われており,予後数か月の報告も多い.今回,多彩な組織型を含む卵巣原発carcinosarcomaを経験したので文献的考察を含め報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
338-338, 2012
|