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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題19】
卵巣子宮内膜症性嚢胞が発生基盤となったと考えられる骨盤内炎症性疾患(PID)の3症例
中西 一歩, 白銀 恵, 米澤 美令, 村川 裕子, 高屋 茜, 山田 隆, 渡辺 美千明, 米山 剛一
日本医科大学千葉北総病院産婦人科
PIDは性交渉やIUD挿入などを契機に発症すると考えられている.今回卵巣子宮内膜症性嚢胞が発生基盤となったと考えられるPIDの3症例を経験したので報告する.【症例1】33歳未経妊.原発性不妊症,子宮内膜症性嚢胞にて当科紹介受診され子宮内膜細胞診を施行された.3日後に嘔気と腹痛にて他院受診.PIDの診断となりCMZ静注にて治療されたが経過不良にて当院に紹介受診となった.入院後SBT/ABPC 6g+CLDM 1.2g静注開始したが解熱傾向認めず,カプセル化した卵巣膿瘍が原因と考えられた為ドレナージ目的に入院第5病日に左付属器切除術とドレナージ術を施行した.原因菌は感受性良好であったため同一の抗菌剤で治療を継続し,経過良好のため第12病日よりDOXY 100mg/day経口に変更したが第15病日に再増悪し,後腹膜膿瘍も認めたため抗菌剤はCMZ 4g/day静注+metronidazole 500mg/day経口へ変更した.第20病日に薬剤性肝機能障害を認めたためCPFX 600mg/day静注へ変更.経過良好にて退院となった.【症例2】44歳2経妊2経産婦.他院の検診にて子宮内膜細胞診施行後,性器出血と下腹痛出現し3日後に当科受診.炎症反応の高度上昇ありPIDの診断にて入院となる.入院後SBT/ABPC 3g+CLDM 1.2g静注開始,その後経過良好にて退院となる.【症例3】50歳3経妊3経産婦.腟壁腫瘍と卵巣のう腫にて当院紹介受診.腟壁腫瘍をエンドループで結紮したところ3日後に自然脱落したが,同日より発熱と炎症反応の上昇あり緊急入院.肝機能障害のためCPFX 1200mg/dayにて加療開始.経過良好にて退院となる.これら3症例に共通する事項として全症例に卵巣子宮内膜症性嚢胞が観察された.若干の文献的考察を加え報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
340-340, 2012
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