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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【一般演題21】
当院において卵巣出血の診断で入院を必要とした27症例の検討


長谷川 澄子, 阿部 一也, 小池 ひとみ, 村木 紗知, 難波 直子, 間瀬 徳光, 疋田 裕美, 上田 万莉, 丸茂 元三, 森田 豊, 大橋 浩文, 石田 友彦
板橋中央総合病院産婦人科


 卵巣出血は急性腹症で緊急手術が必要となりうる疾患であるが,現在では止血剤点滴,補液,鎮痛剤使用等により,大量の腹腔内出血があっても全身状態悪化がなければ待機的にみることが可能になってきている.当院で平成20年1月から平成23年12月の4年間,卵巣出血と診断され入院を必要とした症例について検討した.症例は計27例で,平均年齢は29.7歳(20〜43歳),救急搬送例は8例(30%),平均入院期間は4.7日(2〜16日),発症時平均月経周期は24.3日目(2〜43日),妊娠例が1例,妊娠を除く黄体期の発症例は20例(74%),右側卵巣の発症例は16例(59%)であった.発症契機は全例が下腹部痛であり,発症誘因に性交が強く疑われる症例は13例(48%)であった.入院時Hbは12.7 g/dl(10.8〜15.1 g/dl),入院中にもっとも低くなったHbは10.7 g/dl(8.6〜12.6 g/dl),全症例において輸血を要しなかった.同期間に手術を施行した例は卵巣腫瘍破裂例が1例,急性虫垂炎例が1例,卵巣腫瘍茎捻転例が1例であり,すべて術中所見で卵巣出血が判明した例であった.卵巣出血は保存的治療を選択する場合,その管理は厳重でなければならない.腹腔内出血量の増加,疼痛等全身状態悪化を認めた場合は,迅速に外科的処置へ踏み切ることが肝心ではあるが,血液検査,全身状態等バイタルサインの悪化がなければ手術に踏み切らずに保存的にみることが可能である.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 344-344, 2012


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