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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【一般演題22】
当院における子宮内反症9例の後方視的検討


真田 道夫, 尾本 暁子, 田中 宏一, 岡山 潤, 山地 沙知, 中田 恵美里, 井上 万里子, 木原 真紀, 碓井 宏和, 長田 久夫, 生水 真紀夫
千葉大学医学附属病院周産期母性科


[はじめに]子宮内反症の臨床像について,出血を中心に検討した.[対象と方法] 1999-2011年に当院で経験した9症例について後方視的に検討した.年齢は22-33歳,7例が初産婦,2例が経産婦であった.[結果]すべて産褥搬送例であった.子宮内反の治療を目的に紹介された症例は4例のみであった.4例は内反整復後に発生した弛緩性出血,1例は弛緩性出血として紹介され,当院到着時の診察で子宮内反を認めた.分娩後,臍帯牽引が8例に,胎盤用手剥離がそのうち2例に行われていた.児娩出から胎盤娩出までの時間は8例が15分以内であった.児娩出から<30分かつ出血量<500mlで臍帯牽引などの介入がなされていた症例が7例であった.当院では全例で全麻下の用手整復に成功した.3例でIABO,1例で内腸骨動脈塞栓,1例で子宮動脈塞栓術を併用した.総出血量は6600g±3500g(2890〜12300g)で,全例に輸血を実施した(MAP:22±4.8(10〜57),FFP:21±4.2(10〜38)(単位)).全例でDICに至ったが,内反発症後すみやかに搬送された症例では,総出血量が少なく,DICからの回復が早い傾向にあった.出血性脳梗塞後に神経症状を遺した症例が1例,母体死亡に至った症例が1例あり,これらは輸血開始までの時間が他の症例に比し長かった.前医で計測された出血量は,当院到着時のHb・shock index・産科DIC scoreなどと有意な相関を示さなかった.[考察]臍帯牽引・胎盤用手剥離は子宮内反のリスクであり,拙速な介入は慎むべきである.整復後も内反の再発を念頭に置く必要がある.また,前医での出血量の推定値は,正確ではない可能性があり,shock indexなどを指標にして遅滞なく輸血の適否を判断する必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 348-348, 2012


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