|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題23】
当院における妊婦健診未受診の検討
堀 晋一郎, 田口 彰則, 司馬 正浩, 松本 泰弘, 本池 良行, 梅澤 幸一, 市田 宏司, 川田 龍太郎, 笹森 幸文, 木戸 浩一郎, 梁 栄治, 綾部 琢哉
帝京大学産婦人科
【目的】未受診妊産婦は,経過に関する情報が乏しく,周産期の安全確保に困難をともない,その後の育児にも影響が及び得るため,医学的のみならず社会的にも注意を要する存在となっている.当院における未受診妊婦の状況を後方視的に検討し,周産期安全の向上,妊娠・育児に対する社会的意識の啓発に資すことを目的とした.【方法】 2007年1月から2011年12月までに当院で対応した未受診妊産婦27症例を対象として母児の医学的問題点・社会的背景・児の短期予後等について後方視的に検討した.未受診妊産婦の判定は東京都・大阪府の調査で用いられた基準に準じた.【結果】母体の平均年齢は25歳(17〜44歳),初産婦は12例,経産婦は15例で4例は前回も未受診だった.未受診の理由は,妊娠と認識していなかった7例,妊婦健診制度の無理解13例,多忙5例,経済的理由4例であった.母体合併症は,PIH,常位胎盤早期剥離,前回帝王切開,知的障害,感染症等が15例に認められ全体の56%だった.児の平均出生体重は2,571g(1,834g〜4,166g)であった.NICU入院は12例(44%)で,周産期死亡は2例(7%)であった.【結論】医学的には母体合併症・新生児合併症が高い傾向を認めたが,未受診の経緯や背景には社会的問題の存在もうかがわれた.出産前からの啓発・支援が必要と考えられた.さらに,未受診出産では乳幼児虐待へ至る危険性もあるため,産後の育児支援から幼児の保育環境援助へとつながる,医療と福祉行政との連携も重要と思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
351-351, 2012
|