|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題24】
存続絨毛症にMTXを使用し重度薬疹を呈したポルフィリン症の一例
五味 陽亮, 見上 由起子, 竹田 貴, 河村 真, 高井 泰, 高木 健次郎, 馬場 一憲, 関 博之
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科
【諸言】ポルフィリン症とはヘム合成に必要な酵素が先天的あるいは後天的に障害されているために,ポルフィリン体などの中間生成物が肝臓や皮膚などに蓄積し,症状を呈した病態の総称である.ポルフィリン症には禁忌薬剤が多数存在し,ポルフィリン症の発作が誘発される危険性がある.今回我々は存続絨毛症に対しメトトレキセート(以下MTX)を使用したところ,ポルフィリン症による発作は認められなかったものの重度の薬疹を起こし,薬剤の変更を余儀なくされた症例を経験したので呈示する.【症例】49歳,5経妊3経産.持続する不正出血に対して子宮内容除去術を施行し,胞状奇胎と診断した.術後hCGが上昇したため単純子宮全摘術を施行したが,その後もhCGが再上昇したため,存続絨毛症と診断した.MTX開始から4日目に37.8℃の発熱,大腿部に広範な皮疹が出現した.6日目に体幹に浸潤を伴う紅斑,手指に血疱,口腔内にびらん・白苔の形成を認めたため,皮膚生検を施行した.重度薬疹と診断され,PSL 60mg/日を開始した.11日目に顆粒球減少を認め,G-CSFを開始した.薬疹は18日目より徐々に軽快した.経過中,ポルフィリン中間代謝物は検出しなかった.薬剤をアクチノマイシンDに変更し,経過は順調である.【結語】MTXで口内炎や肝機能障害を呈することはあるが,重篤な皮膚障害は稀である.MTXによりポルフィリン症を誘発するという報告もあるが,今回の皮膚障害は薬疹と思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
355-355, 2012
|