|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【シンポジウム】
「指導医」養成にむけて
倉智 博久
山形大学産科婦人科
日本産科婦人科学会を含め多くの学会で「専門医制度」の整備は重要な課題で,日産婦でも専門医制度には大きな改革が加えられてきました.中央専門医制度委員会の櫻木前委員長のもとで,専門医試験の申請条件の整備がなされ,学会発表と論文執筆実績などを求めることとなり,専攻医指導施設の更新条件にも論文実績を求めることとなりました.同時に,専攻医の研修項目,研修カリキュラムの整備が行われました.引き続き,吉川現委員長のもとで,一昨年から専攻医指導施設基準の見直しと区分が行われました.これらは,日産婦として当然の改革ですが,同時に,日本専門医制評価・認定機構という「外圧」による改革という側面もあります.外圧とは,煎じ詰めれば,各学会への「国民にわかり易く,目標としている専門医像を明示する」という要求です.
本講演では,日産婦の専門医制度の歴史と現状を概観し,専攻医の研修項目,研修カリキュラムの見直しの要点と,それに基づく専攻医の評価方法について講演します.今回,制定した「専攻医指導要項(=指導医マニュアル)」についても説明します.
専攻医の研修項目,研修カリキュラムの見直しは以下のように行いました.@従来の専攻医の研修項目を規定する文書は,@「研修カリキュラム」,A研修項目を列記した「研修項目」と題された冊子,B研修手帳,の3つで,それぞれの項目はバラバラで一致していませんでした.しかも,「研修項目」は非常に多項目で,現状に合わない項目もありましたので,研修項目を整理し,専攻医が研修すべき,基本的で,重要な項目を厳選して研修項目としました.さらに,「研修項目」,「研修カリキュラム」と「研修手帳」の項目を一致させ,一貫性のある研修目標を設定しました.A評価の実際は,専攻医は各項目について達成度を自己評価してA,B,Fを記入し,指導責任医は専攻医の自己評価を参考に,達成度に応じて○,△または×を指導医評価欄に記入することとしました.
今回,専攻医指導要領(=指導医マニュアル)も作成し,専攻医が研修目標を達成するための臨床現場での実践的な方略も作成し,研修コーナーに掲載しました.
日産婦の専門医制度の今後の重要な課題は,「指導医」を作ることです.現状は,専攻医指導施設に,「指導責任者」を置いていますが,臨床現場で直接専攻医を指導・評価する「指導医」がいません.このため,まず,「指導医」の条件を決めるとともに,来年の札幌での日産婦学会で最初の指導医講習会が行われる予定です.
「指導医」の条件として中央専門医制度委員会で考えられているイメージは,専門医取得後3年以上の臨床経験を有する,現場で専攻医を直接指導する医師です.これらの条件は今後詳細が詰められる予定です.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
391-391, 2012
|