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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的薬物治療例と臨床試験
杉林 里佳, 谷口 公介, 岡田 朋美, 住江 正大, 和田 誠司, 左合 治彦
国立成育医療研究センター周産期センター
【目的】胎児頻脈性不整脈は胎児水腫を来し,無治療では子宮内胎児死亡に至る場合があり,予後不良症例が存在する.胎児頻脈性不整脈に対し経胎盤的薬物治療が施行され,その有効性が報告されており,治療法の確立を目指して2010年10月より臨床試験を開始している.当院で施行した胎児頻脈性不整脈に対する経胎盤的薬物治療症例の治療成績と予後について明らかにする.
【対象】2002年3月より2012年6月までに当院において経胎盤的薬物治療を施行した胎児頻脈性不整脈症例8例を対象とし後方視的に検討を行った.
【成績】頻脈性不整脈8例はいずれもPSVTであり,出生前診断ではshort VA4例,longVA4例であった.使用薬剤は臨床試験開始前ではジゴキシン・フレカイニド併用5例,ジゴキシン投与2例,臨床試験開始後の2011年ではソタロール投与1例であった.
臨床試験開始前の7例中,胎児水腫例は3例(42.9%),治療開始週数は平均32.2週(23.9〜35.4週)であり,全例満期産に至った.分娩週数は平均37.6週(37.0〜39.7週),出生体重は平均2817.7g(2404〜3306g)であった.胎内治療により全例が不整脈の改善を認めた.生後も引き続き内服加療を行っているが,生後6カ月までに死亡例は認めなかった.また母体への大きな合併症も認めなかった.
【結論】頻脈性不整脈に対する経胎盤的薬物治療では全例で不整脈の改善を認め,生産に至り予後も良好であった.エビデンスを確立することが重要であり,経胎盤的抗不整脈薬投与に関して現在臨床試験を実施しており,詳細についても解説する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
394-394, 2012
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