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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
切迫早産に対して硫酸マグネシウムを併用する際に急速飽和は必要か?
古村 絢子, 佐川 義英, 寺田 光二郎, 嘉本 寛江, 中村 泰昭, 落合 尚美, 中川 圭介, 中江 華子, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
【緒言】切迫早産に対してアメリカでは硫酸マグネシウム(MgSO4)の単剤投与が選択され,その導入においては急速飽和が行われる.日本では塩酸リトドリンにMgSO4が併用されることが多く,その導入において多くの施設で急速飽和が行われるが,一方で急速飽和を行っていない施設もあり,その必要性は十分に検討されていない.【目的】塩酸リトドリンにMgSO4を併用導入する際の急速飽和が必要であるか早産予後的視点から検討した.【方法】2009 年2 月1 日〜2012 年4 月30 日に切迫早産として当院に入院した症例117 例のうち,塩酸リトドリンにMgSO4を併用例は21 例であり,MgSO4の導入方法が担当医ごとに異なっていたため,急速飽和群(RI)11 例と緩徐飽和群(SI)10例の2群に分け,早産予後,早産index,血中Mg濃度を後方視的に調査した.急速飽和は初回40 m(l 4 g)を20分以上かけて静脈投与し,その後10 ml/時間で持続投与する方法で,緩徐飽和は10 ml/h を持続投与する方法である.統計学的処理はt 検定で行った.【結果】妊娠期間の延長週数はRI 群で2.6±2.8 週,SI 群で2.9±2.5 週(平均±SD)と早産予後は変わらなかった(P=0.8009).Mg 血中濃度はRI 群では開始後翌日に4.5±0.4 mg/dl,SI 群は翌々日に4.1±0.9 mg/dl と有効血中濃度に達し,平均0.8 日の遅れを見たが,有意とは判断されなかった(P=0.5094).
【結論】MgSO4の急速飽和を行わないと血中濃度は約一日遅れて上昇したが,早産予後に変化はなかった.今後は前方視的RCT で検討したい.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
395-395, 2012
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