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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
MRIにおける卵巣明細胞腺癌と内頚部型境界悪性粘液腫瘍の検討
林田 弘美, 楯 真一, 植原 貴史, 山本 憲子, 錦見 恭子, 碓井 宏和, 三橋 暁, 生水 真紀夫
千葉大学医学部附属病院産婦人科
術前MRI診断における卵巣明細胞腺癌(clear cell adenocarcinoma:CCA)の特徴は,単房性腫瘍と壁在結節といわれるが,しばしば内頚部型境界悪性粘液腫瘍(mullerian mucinous papillary borderline tumor:MMBT)と鑑別を要することがある.今回われわれはMRIにおけるCCAとMMBTの検討を行った.
【対象と方法】対象は2007年から2012年までのCCA1期とMMBT1期のうち,MRIを後方視的に検討できたCCA20例とMMBT8例.検討項目として年齢,腫瘍マーカー,MRI画像の特徴(形状,壁在結節,壁在結節の立ち上がり角度)とした.壁在結節の立ち上がり角度の測定は,PC画像にて壁在結節が最も膨隆した部分の接線と,腫瘍壁接線で形成される角度を用いた.
【結果】CCA群とMMBT群を比較すると,年齢はCCA 57才,MMBT 41才であり,CCA群で高齢者が多かった(p<0.05).MRI画像では,腫瘍性状として嚢胞性,多房性,内腔充実性に分けられ,CCAでは嚢胞性:15例,内腔充実性:5例,MMBTでは嚢胞性:6例,多房性:1例,内腔充実性:1例であった.嚢胞性腫瘤型のうち,壁在結節を伴うのはCCA:15例(100%),MMBT:6例(66%)だった.壁在結節の立ち上がり角度はCCA 87°(中央値),MMBT 114.1°(中央値)で,MMBTでは,接線と成す角度が有意差を持って鈍角であった(p<0.05).腫瘍マーカーの値はCA125の値はCCAで72.5(中央値),MMBTで51.2(中央値)であり有意差を認めた.
【結語】年齢,腫瘍マーカーの値も参考とし,MRI画像における腫瘍の形状,壁在結節,壁在結節の腫瘍壁からの立ち上がりの角度を用いることでCCAとMMBTを術前に鑑別することが可能であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
397-397, 2012
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