|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
AFPが異常高値を示した卵巣明細胞腺癌の1例
田川 尚美1, 柳田 聡1, 永吉 陽子1, 大野田 晋1, 青木 ひとみ1, 關 壽之1, 森川 あすか1, 鈴木 啓太郎1, 礒西 成治1, 岡本 愛光2
東京慈恵会医科大学付属第三病院産婦人科1, 東京慈恵会医科大学産婦人科2
上皮性卵巣腫瘍の中で卵巣明細胞腺癌には特異的な腫瘍マーカーが無く,術前診断は子宮内膜症の既往や画像所見等から総合的に判断する場合が多い.一方alpha-fetoprotein(AFP)は卵黄嚢腫瘍や胎児性癌などの胚細胞腫瘍における特異的な腫瘍マーカーであり,明細胞腺癌で高値を示す事は極めて稀である.今回,我々はAFPが異常高値を示した卵巣明細胞腺癌の1例を経験したので報告する.症例は51歳女性,1G1P,既往歴,家族歴に特記すべき事無し.腹部膨満感にて近医受診し,経腹超音波検査にて骨盤内の多房性腫瘤と多量の腹水を認め精査,加療目的にて当科紹介受診.骨盤MRIにてT1WIで高信号及び低信号,T2WIにて高信号及び低信号の混在する径18cmの多房性腫瘤と多量の腹水を認め,卵巣粘液性腺癌が疑われた.血清中腫瘍マーカーは,CA125 56(U/ml),CA19-9 20(U/ml),CEA 2.7(ng/ml),AFP 31,533(ng/ml)であり,卵黄嚢腫瘍を疑い開腹手術を施行した.開腹時4Lの腹水を認めた.腫大した左付属器は子宮と腸管を巻き込んで一塊となり,癌性腹膜炎の所見を認めた.左付属器の術中迅速組織診断は明細胞腺癌であり,腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,大網切除術を施行した.病理組織診断は卵巣明細胞腺癌,腹水細胞診はclassVであり,pT3cNxMx,FIGO stage IIIcと診断された.組織検体のAFP染色は陽性であった.血清中AFPは術後7日目に2,948(ng/ml),25日目に134(ng/ml)と低下を認めた.現在周期的化学療法中である.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
398-398, 2012
|