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<< 学会誌へ戻る 卵巣カルチノイドは卵巣悪性腫瘍全体の約0.1％を占める稀な疾患である．今回我々は，強固な便秘を伴う卵巣カルチノイドを経験したので，文献的考察を含めて報告する．症例は74歳女性，4経妊3経産，閉経54歳．健診で肝逸脱酵素の上昇を認め腹部エコーを施行したところ，下腹部腫瘤指摘された．精査目的のCTで両側卵巣腫大があり当科初診となった．経膣エコー・MRIで7cm大の左卵巣成熟嚢胞性奇形腫と，9cm大の充実成分を伴う右卵巣腫瘍を認め，成熟嚢胞性奇形種の悪性転化などの可能性を考慮し，開腹子宮全摘術・両側附属器切除術・リンパ節生検を行った．病理組織所見で腫瘍細胞は索状配列や融合を呈するような管状配列をとる増殖像を認め，電顕では高電子密度を示す多数の顆粒を認め，免疫染色ではpeptideYY陽性・synaptophysin弱陽性を認めることから卵巣カルチノイドの診断に至った．術前に全身CT・上下部内視鏡検査を施行し卵巣以外に異常所見を認めず卵巣原発と考えられた．術前に認めていた便秘は術後著明に改善しており，本症例の便秘にはpeptideYYの関与が示唆された．術後，再発所見なく順調に経過している．卵巣カルチノイドは稀な腫瘍であり，術前診断は困難であるが，強固な便秘を伴い，充実成分を含む卵巣腫瘍を認めた場合，本疾患も念頭に入れ診断・治療を行う必要があると考えられた． 関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 400-400, 2012 |
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