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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
TC療法が奏功し手術にて摘出しえた卵巣大細胞神経内分泌癌の一例
菊川 忠之, 橘 涼太, 志村 隆行, 宮下 昭太, 山田 諭, 清澤 恵未, 山田 靖, 近藤 沙織, 鹿島 大靖, 宮本 強, 岡 賢二, 塩沢 丹里
信州大学産婦人科
卵巣原発の大細胞神経内分泌癌(large cell neuroendocrine carcinoma;LCNEC)は非常に稀であり,予後不良である.今回化学療法が奏功し,手術にて摘出し得た卵巣癌IIIc期の一例を経験したので報告する.症例は72歳の女性で,腹部膨満感を主訴に内科を受診したところCTにて骨盤内に不整な充実性腫瘤を認め,婦人科疾患を疑われたため2008年当科へ紹介された.骨盤内には長径12cmの辺縁不整な腫瘤を認め,骨盤リンパ節腫大,多量の腹水および骨盤内から上腹部まで最大3cmの播種病変を認めた.淡血性の腹水を5,300mL除去するも細胞診はclassIIであり,腫瘍減量と診断確定のために開腹術を施行した.左卵巣に多房性腫瘤を認め,骨盤内播種のため子宮は確認できず,両側付属器摘出術および大網部分切除のみを施行した.病理検査では両側卵巣および大網内にSynaptophysinの発現を伴う大型の異型細胞を認めLCNEC,右卵巣転移,大網播種と診断した.術後TC(paclitaxel+carboplatin)療法を4コース施行したところ,画像上病変が同定できなくなり,単純子宮全摘術,骨盤・傍大動脈リンパ節郭清,大網切除術を施行した.術後病理診断にて残存病変は無く,更にTC療法を3コース追加し,現在初回手術後48か月,再発所見無く外来経過観察中である.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
400-400, 2012
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