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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
子宮頸部最小偏倚型粘液性腺癌(MDA)と鑑別を要した分葉状頸管腺過形成(LEGH)の一例
小宮 春奈, 小貫 麻美子, 加藤 敬, 田中 勝洋, 吉川 智之, 櫻井 学, 八木 洋也, 越智 寛幸, 水口 剛雄, 松本 光司, 佐藤 豊実, 吉川 裕之
筑波大学附属病院産婦人科
分葉状頸管腺過形成(LEGH:lobular endocervical glandular hyperplasia以後LEGH)は基本的には良性疾患であるが,最小偏倚型粘液性腺癌(MDA:minimal deviation adenocarcinoma以後MDA)との鑑別を要する.MDAは子宮頸部腺癌の特殊型であり,予後不良の子宮頸部病変であるため,特に妊孕性温存希望のある症例では診断に慎重を要する.今回我々はMDAを疑って円錐切除術を施行し,組織学的にLEGHと診断された一例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.【症例】31歳0経妊0経産婦.検診で腺系の細胞診異常を指摘され,近医受診を介して当院を紹介受診した.子宮頸部後唇には肉眼的に約5cmの外向性に発育する腫瘍を認め,帯下は水様性であった.子宮頸部細胞診はAGC,同部位からの狙い組織診ではMDA疑いであった.MRIでは子宮腟部を中心に集簇する嚢胞性病変を認めた.また間質のごく一部ではわすかにT2WI高信号を示しており,腺癌を疑う所見が見られた.腫瘍の子宮外への進展は認めず,CT上遠隔転移やリンパ節転移を疑う所見はなかった.以上の結果をふまえ,MDA疑いで子宮頸部円錐切除術を施行した.組織所見では小葉構造を保った核異型のない腺管の増殖を認め,最終的にLEGHと診断された.生検・画像検査のみではLEGHとMDAの鑑別はやはり困難であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
402-402, 2012
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