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<< 学会誌へ戻る 子宮腺筋症が発生母地と考えられる稀な子宮体癌症例を経験したので，報告する． 【症例】下腹部痛を主訴に受診した54歳未経妊の女性．MRI所見にて右卵管水腫に伴う骨盤内感染を疑い，抗菌薬加療を開始したが，症状の改善を認めないために，開腹手術となった．術中所見では右卵管腫脹は確認できなかったが，子宮右底部に変性筋腫様の腫瘤を認めた．これが右付属器および虫垂と癒着していたために，虫垂炎の可能性も考慮し，虫垂切除術と右付属器摘出術を行った．しかし，病理学的に虫垂の漿膜面から粘膜筋板直下まで存在する低分化型腺癌が確認され，虫垂外からの進展が考えられた．右付属器には悪性所見は認めなかった．術後に施行したPET-CTで変性筋腫様と思われた子宮底部腫瘤近傍にFDG集積を認めたために，その部位が原発である可能性が高いと判断し，再手術を行った．腹式単純子宮全摘術＋左付属器切除+大網部分切除術を施行した．病理学的に摘出子宮の右底部腫瘤に低分化型腺癌を認め，原発部位と考えられた．あわせて，腫瘍は子宮内膜および両側付属器と連続性を認めず，背景の子宮筋層内に腺筋症が目立つことや腫瘍近傍に内膜腺様の非腫瘍性腺管を認めることから，腺筋症を母体とする可能性が高いと考えられた．術後に直腸浸潤，腹膜播種，両側腸骨リンパ節転移が疑われた．TC療法を3コース施行したが，病変は進行し，死亡した． 【考察】子宮腺筋症の悪性化と思われる子宮体癌は，病変と子宮内膜とに連続性がない場合，子宮内膜細胞診や組織診では診断が困難である．今回のように原発巣の同定が困難である場合は，MRIに加えてPET検査を追加することによって，診断の一助になりうる． 関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 406-406, 2012 |
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