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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
t-PA投与を含む集中治療により救命できた帝王切開術後肺塞栓症の1例
塩浦 加奈1, 藤木 豊1, 兒玉 理1, 中尾 砂理1, 竹島 絹子1, 漆川 邦1, 石渡 勇2
水戸済生会総合病院産婦人科1, 石渡産婦人科病院産婦人科2
【症例】40歳1回経産婦,BMI=26.6.妊娠38週に既往帝切後を適応に帝王切開分娩となった.手術は脊椎麻酔下に開脚位で実施され,術中は弾性ストッキングを,術後は加えて間欠的空気圧迫法を施行された.疼痛のため術後3日に遅れて歩行開始したところ直後に呼吸苦出現,うなり声をあげて転倒し意識レベルJCSIII-300となり当院に救急搬送となった.来院時意識レベルIII-100,SpO2 70%,BP80/37mmHg,HR 160bpmであった.気管内挿管・呼吸器管理を開始し,ヘパリン5000単位を投与した.心エコーにて右室負荷所見あり,造影CTで右肺動脈主幹部および左肺動脈に塞栓子を認め,肺塞栓症と診断した.IVR治療の方針とし,術後創出血予防目的にまずUAEを施行し,直後にt-PA(クリアクター27,500 IU/kg)の静注を実施した.引き続き肺動脈塞栓子の破壊を試みるも成功せず,IVCフィルターを留置した上でヘパリンによる抗凝固療法および呼吸器管理を継続した.IVR治療終了直後の動脈血ガスはpH7.161,PCO2 88mmHg,PO2 76 mmHgであったが,30分後にはpH7.248,PCO2 67.8 mmHg,PO2 213 mmHg(それぞれFiO2 1.0)と改善傾向となった.以後数日の間に少しずつ呼吸不全は改善した.小さな創部皮下血腫の形成を認めた他は,t-PAによる出血性副作用は認めなかった.術後10日のCTで血栓溶解傾向を認め,術後12日抜管した.その後ワーファリンを導入し,術後22日に後遺症なく退院した.【考察】帝王切開術後3日の肺塞栓症において,UAE実施下でのt-PA投与は安全に実施できた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
408-408, 2012
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