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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
先天性アンチトロンビン欠乏症の3症例5妊娠の管理
北嶋 諒, 太田 好穂, 神藤 里枝, 仲谷 美沙子, 下山 華, 松本 雅子, 古田 直美, 内田 季之, 鈴木 一有, 杉原 一廣, 伊東 宏晃, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
先天性アンチトロンビン欠乏症は常染色体優性遺伝疾患であり,アンチトロンビンの先天的な欠損により抗血栓作用が低下し血栓症を高頻度に発症する.本症を合併した女性が妊娠した場合,血栓,塞栓症が高頻度に発症するのみならず,流産,死産,妊娠高血圧症候群,胎児発育不全などを合併するハイリスク群となる.今回,当院で経験した3症例,6妊娠について報告する.症例1は28歳,2経産1経産,24歳時に重症妊娠高血圧腎症を発症し,常位胎盤早期剥離および子宮内胎児死亡をきたし,先天性アンチトロンビン欠乏症と診断された.26歳時に自然妊娠し妊娠6週に下肢の深部静脈血栓症を発症し加療中の妊娠8週に自然流産となった.3回目の妊娠は初期よりアンチトロンビンの補充ならびに抗凝固療法を行い妊娠36週4日2332gの女児を帝王切開分娩した.症例2は28歳,初妊初産婦,26歳時に肺塞栓症と下肢の深部静脈血栓症を先天性アンチトロンビン欠乏症と診断された.インド旅行中に無月経となり,同時に右下肢の違和感を自覚し,同地にて妊娠ならびに右下肢の深部静脈血栓症と診断された.帰国後,アンチトロンビン補充と抗凝固療法により妊娠39週2日2750gの男児を経腟分娩した.現在,第2子の妊娠経過中で有り,アンチトロンビンの補充ならびに抗凝固療法を施行している.症例3は34歳,初妊初産婦,無月経となり妊娠と診断され,家族歴より精査し先天性アンチトロンビン欠乏症と診断された.アンチトロンビンの補充と抗凝固療法により妊娠39週4日2664gの女児を経腹分娩した.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
409-409, 2012
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