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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
既往帝切後妊娠で完全子宮破裂をきたした一例
藤原 夏奈, 倉澤 健太郎, 稲垣 萌美, 今井 雄一, 持丸 綾, 笠井 絢子, 望月 昭彦, 青木 茂, 奥田 美加, 高橋 恒男, 平原 史樹
横浜市立大学附属市民総合医療センター周産期センター
【背景】子宮破裂の発生頻度は,子宮下部横切開が0.2〜1.5%であるのに対し逆T字切開や古典的帝王切開では4〜9%といわれている.また,少なくとも帝王切開施行後8カ月未満で妊娠した場合は早産の危険が高くなるといわれている.今回当科で帝王切開後2ヶ月で妊娠成立し,完全子宮破裂を来した症例を経験したため報告する.【症例】23歳.4経妊1経産.前回妊娠29週2日分娩不可避,横位のため逆T字切開で緊急帝王切開施行され,術後2ヶ月で妊娠し,子宮破裂のリスク等情報提供の上妊娠継続した.妊娠28週3日突然の下腹部痛の訴えあり,病院到着時には持続的な腹痛,腹膜刺激症状,性器出血あり.児心拍は70bpmまで低下し,子宮破裂の疑いで緊急帝王切開術を施行した.前回の切開創が離開し卵膜が露出しており,完全子宮破裂と診断された.児と胎盤は子宮内に留まっており幸帽児で娩出.子宮破裂創部からの出血は少量で術中出血量は1255g(羊水含む)であった.児は1074g(AFD)の女児でAp1/3,UApH6.9.重症新生児仮死で出生し,現在人工呼吸,経管栄養管理となっている.【考察】当科で2000〜2012年5月までで2回以上帝王切開施行された症例は113例あり,そのうち古典的帝王切開は4例,次回妊娠までの期間は平均1年9ヶ月,最短で約4.5ヶ月であり,子宮破裂症例はなかった.今回の子宮破裂は,前回の術式が逆T字切開であった上に術後2ヶ月という短期間で妊娠したことが主因と考えられた.帝王切開術を施行した際には,次回妊娠までの期間についての指導を含めた管理が必要と考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
411-411, 2012
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