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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
当院における産科出血と凝固系推移の検討
瀬戸 さち恵, 岡垣 竜吾, 鈴木 元晴, 板倉 敦夫, 石原 理
埼玉医科大学病院産婦人科
【目的】産科出血では中等量の出血でも産科DICに陥る事が知られている.しかし産科DIC発生が危惧される出血量とその際の凝固系検査結果に関する報告は少ない.今回我々は産科DICが発生する出血量を明らかにする目的で,産科出血例の推定出血量と凝固系の推移について解析したので報告する.【方法】対象は2006年6月から2011年7月に当院で取り扱った産褥搬送を含む産科異常出血例のうち異所性妊娠や前医での輸血実施例等を除外した90例とした.電子カルテより対象症例を抽出し診療録を後方視的に解析した.産科DICスコア加点基準および厚生労働省「血液製剤の使用指針」新鮮凍結血漿(FFP)投与基準を1つでも満たしたものを凝固異常とした.【成績】原疾患にDIC基礎疾患がある群(以下(+)群)と,ない群(以下(−)群)に分類すると,凝固異常を示したのは(+)群87%(13/15例)(−)群12%(9/75)と(+)群に有意に多く凝固異常が発生していた.また異常の内訳は(+)群でAPTT 0例,PT 7例,FIB 13例であり(−)群でAPTT 5例,PT 8例,FIB 9例と全例FIBが異常を示した.凝固異常を示す割合を推定出血量別に比較した処,(+)群では推定出血量2000ml以上で全例凝固異常を示したのに対して(−)群では推定出血量<3000mlで5.1%,≧3000mlで38%に凝固異常を認めた.【結語】DIC基礎疾患の有無に関わらず凝固異常の全例でFIBがDIC基準を満たしており,産科DICに対してFIBを中心とした補充が有用である事が改めて示された.出血原因に関わらずFIBが凝固障害の鋭敏なマーカーであり明らかなDIC基礎疾患がなくても推定出血量が3000mlを超えると,産科DIC発生リスクが上昇すると考えた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
412-412, 2012
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