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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
前置胎盤で子宮内胎児死亡が起きた場合の対処について
大内 秀高, 原 典子, 奥野 鈴鹿, 海部 真美子, 小川 恵吾, 平井 光男
市立甲府病院産婦人科
今回,妊娠21週に子宮内胎児死亡を起こした前置胎盤症例を経験したので,その対処について報告する.症例は28歳,0妊0産.転居のため当科を20週で初診.体外受精による妊娠で,前置胎盤を認めた.その一週間後,胎動がないことを主訴に来院.胎児心拍を認めず,妊娠21週の子宮内胎児死亡(IUFD)と診断し,入院管理とした.他施設の報告を参考に,死胎児稽留症候群の早期発見のため定期的な血液検査を行いつつ,子宮胎盤血流の減少を待機し,計画的な経膣分娩を試み,途中出血が多くなるなどの異常があれば,帝王切開に切り替える分娩方針とした.造影MRIでは辺縁前置胎盤のようで,カラードップラー法では頸管近くの血流は認めず,臨床症状も落ち着いているため,外来管理に移行.子宮動脈塞栓術に関しては,次回妊娠に対する影響を考慮し,行わないことにした.待機中,大量出血に備え,週一回の自己血貯血を行った.血液検査では,D-Dimerの軽度上昇のみで,DICと呼べる変化はなく,感染徴候もなかった.尿中HCGは順調に低下した.胎児死亡確認後,18日目にラミナリアによる頸管拡張を行い,その翌日より,ゲメプロスト腟坐剤の投与を行った.同日,陣痛発来し,分娩進行.児娩出前の出血はなく,児娩出直後より多量の出血があり,胎盤は胎盤鉗子で牽引して遺残なく娩出した.分娩第3期出血量は約900gで子宮収縮剤の点滴で,徐々に出血は落ち着いた.総出血量は1200gで,貯血していた自己血600gを輸血した.胎児死亡の原因は,臍帯の過捻転によるものと思われた.IUFDを起こした前置胎盤の分娩方法は,必ずしも初めから帝王切開で臨まなくてもよいと考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
413-413, 2012
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