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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
妊娠三半期中期の前期破水の管理と予後に関する検討
片山 素子, 谷垣 伸治, 中島 千絵, 荒岡 千景, 井上 慶子, 松島 実穂, 宮崎 典子, 和地 祐一, 岩下 光利
杏林大学医学部付属病院産婦人科
【緒言】妊娠中期での前期破水例について,異なる転帰をたどった症例を経験したので報告する.【症例1】32歳,4経妊1経産,妊娠18週前期破水.前医にて子宮収縮抑制剤及び抗生剤を投与され,妊娠23週当院搬送となった.肺低形成及び拘縮予防のため羊水補充療法およびtocolysisを施行.妊娠27週4日血性羊水及び胎盤後血腫を認め,常位胎盤早期剥離の診断にて帝王切開術を施行した.児は1098g,Apgar Score 8/8点,経過良好にて日齢88に退院となった.【症例2】37歳,2経妊2経産,妊娠26週前期破水にて搬送となった.Tocolysisを施行するも羊水の再貯留は認めず,妊娠27週羊水補充療法を施行した.羊水補充療法開始22時間後,持続性除脈を認め帝王切開術施行.児は1152g,Apgar Score 1/6点.蘇生に反応せず同日新生児死亡した.【症例3】30歳,4経妊1経産,妊娠28週前期破水.羊水流出は持続するも感染徴候を認めず,羊水ポケットは正常下限で推移したため待機的に管理した.妊娠36週2日で陣痛発来し経腟分娩.児は2002g,Apgar Score 8/8,経過良好である.【考察】今回我々が経験した妊娠中期の前期破水症例が様々な転帰を辿ったことから示唆されるように,その治療管理指針を統一することは難しく,児の成熟度ならびに施設内での危機管理体制を考慮した上で症例ごとの検討が求められる.妊娠中期の破水例に対する羊水補充療法は,週数や母体状況を考慮した上でその適応を慎重に検討すべきである.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
417-417, 2012
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