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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
当院における妊娠28週未満前期破水症例の後方視的検討
千葉 純子, 丸田 佳奈, 和田 真沙美, 田代 英史, 草西 多香子, 諸岡 雅子, 中島 義之, 坂井 昌人, 正岡 直樹
東京女子医科大学八千代医療センター母体胎児科・婦人科
【目的】臨床的絨毛膜羊膜炎を呈していない妊娠中期の前期破水の管理は,児の未熟性の問題から,一律の診療指針が定まっていないのが現状である.当院はpreterm PROMに対して,母体感染徴候・胎児機能不全徴候に留意しつつ,積極的に抗生剤・子宮収縮抑制剤を投与し妊娠継続を図っている.今回その周産期予後について検討した.【方法】2007年4月から2012年3月までの5年間に当院で管理した妊娠28週未満前期破水妊婦38人とその新生児の臨床像について後方視的検討を行った.【結果】破水から分娩までの平均妊娠継続期間は16.2日間であった.破水から分娩までが7日未満の12人と7日以上の26人の母体臨床像を比較したところ,破水から分娩まで7日未満の妊婦の白血球数平均値は14,943であり7日以上の妊婦と比較して有意に高かった(p=0.0013).また,破水時に規則的な子宮収縮を認めた症例が41.7%であった.新生児死亡は5例,慢性肺疾患は9例,3度以上の脳室内出血は2例,脳室周囲白質軟化症は4例だった.いずれも在胎週数との相関は認めるが,破水から分娩までの期間との相関は認めなかった.長期破水例の中でDry lung syndromeは3例に認めたが,いずれも急性期人工呼吸器管理により速やかに改善した.胎内感染によると思われる新生児感染は6例に認められたが,抗生剤治療により軽快し,重篤な敗血症を呈した例はなかった.【考察】感染徴候が明らかでない前期破水症例は長期間妊娠継続できる可能性が高く,母体感染徴候・胎児well beingに十分留意した管理を行えば,長期破水状態でも妊娠継続させるメリットは大きいと考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
417-417, 2012
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