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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))

【一般演題】
子宮全摘出術開始後に血圧低下を来たし,ラテックスアレルギーが疑われた1例


舟山 幸, 松本 眞紀子, 近藤 愛子, 雨宮 照子
至誠会第二病院産婦人科


 子宮筋腫のため腹式子宮全摘出術(ATH)開始後に血圧が低下し,ラテックスアレルギーと思われる1例を経験したので報告する.【症例】46歳,女性[既往歴]5歳ソケイヘルニア手術,29歳子宮筋腫核出術,31歳と34歳帝王切開術と4回の手術歴があった.金属の接触性皮膚炎とゴム手袋にかぶれる既往程度で,食物アレルギー歴はなかった.[現病歴]34歳(2回目の妊娠)より当科で経過をみていたが,子宮が多発性筋腫のため新生児頭大となり,貧血を指摘されたこともあり,ATHをすることになった.[経過]麻酔導入直前に抗生剤(FMOX)点滴は終了していた.全身麻酔下でATHを施行.手術開始10分過ぎより血圧86/43mmHgから62/25mmHgと低下したため,昇圧剤を投与した.しかし更に45/24mmHgまで低下したため,手術開始18分で,ラテックスアレルギーを考えて手術を中断した.ショックに対する治療をし,手術用手袋と膀胱カテーテルを交換し,バイタルが落ち着いたところで手術を再開し,終了した.その夜にFOMX点滴を開始したところ,血圧低下,頻脈,嘔吐が出現したため点滴を中止した.術後2日目Hb5.5g/dlと低下し,画像検査より腹腔内出血を認めた.ラテックスフリーで準備をし,試験開腹したところ,膣断端右に凝血塊を認めた.術中〜術後に輸血を施行.その後の経過は順調で,再開腹術後8日目に退院.術後2日目ラテックスRAST:2.48UA/ml(クラス2)であった.他院アレルギー科を紹介したが,患者が皮膚テストに同意せず未施行.【考察】産婦人科領域では,帝王切開など手術を反復する例がある.手術歴が多い例に対してはラテックスアレルギーに留意した診療対応が大切であると考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 419-419, 2012


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