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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍術後に大腿神経麻痺をきたした1例
中西 篤史, 古谷 健一, 青山 真, 加藤 雅史, 佐々木 直樹, 後藤 友子, 野 政志, 笹 秀典
防衛医科大学校産婦人科
【緒言】婦人科骨盤内手術後の大腿神経麻痺の報告は散見されるが,原因については不明な点が多い.今回我々は,卵巣腫瘍術後に右大腿神経麻痺を発症し,MRIにて原因検索するも所見を認めず,保存的科料で軽快した症例を経験したので報告する.【症例】65歳,3経妊2経産.閉経52歳.2003年12月に胃癌の診断で胃全摘術施行.病理所見はsignet ring cell carcinomaであった.2011年12月,MRIにて骨盤内に約11cm大の腫瘤を認め,腫瘍マーカーの上昇を認めた.転移性卵巣腫瘍を疑い,2012年3月手術施行.麻酔は全身麻酔に第12胸椎と第1腰椎間の穿刺による硬膜外麻酔を併用した.下腹部正中切開で開腹,右付属器由来の約10cm大の腫瘍を認め,右付属器切除術施行し,術中迅速病理診断でsignet ring cell carcinomaの診断を得た.単純子宮全摘術,左付属器切除術追加し手術終了した.術後1病日に硬膜外麻酔抜去.2病日に右膝関節の進展困難を認め,徒手筋力テスト(以下,MMT)で右大腿四頭筋に1/5程度の筋力低下を認めた.その他の筋力低下は認めなかった.MRIでは右大腿神経に明らかな異常所見を認めなかった.下肢装具,歩行器補助による歩行訓練により筋力改善を認め,7病日には杖歩行とし,13病日には退院となった.28病日にはMMT4/5に回復し,下肢装具終了.72病日にはMMT5/5と筋力低下認めず,杖歩行終了とした.【結語】大腿神経麻痺の原因は不明なことが多いが,婦人科手術後には起こりうる合併症であり,常に念頭に置いて対処すること必要性があると思われる.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
420-420, 2012
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