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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))

【一般演題】
たこつぼ型心筋症により心不全を発症した卵巣嚢腫茎捻転術後の一例


伊集院 昌郁, 飯沼 綾子, 齊藤 真, 浅野 涼子, 北山 玲子, 香川 愛子, 長瀬 寛美, 段 泰行, 飛鳥井 邦雄
横浜南共済病院産婦人科


 今回88歳の高齢女性患者が卵巣嚢腫茎捻転を発症し,緊急手術の翌日,たこつぼ型心筋症を発症し心不全となった一例を経験したので報告する.突然の下腹部痛にて近医内科を受診し,経腹超音波検査を施行したところ腹部腫瘍を認めたため当科紹介受診となった.腹部CT,経腹超音波検査にて下腹部を占める巨大卵巣嚢腫を認め,卵巣茎捻転を疑った.患者は上肢動脈血栓症のためワルファリン,リマプロストアルファデクス,シロスタゾール内服中であったため,新鮮凍結血漿でワルファリンの作用を拮抗した.PT-INRの改善を確認した後開腹手術を行った.右卵巣が反時計回りに720°捻転しており,右付属器摘出術を施行した.成人型顆粒膜細胞腫であった.術後1日目,呼吸困難を訴え心筋逸脱酵素上昇,心電図異常も認めたため緊急カテーテル検査施行したところ冠動脈に有意狭窄は認めず,左室造影にてEF 29%,心尖部の壁運動低下を認め,たこつぼ型心筋症と診断された.たこつぼ型心筋症による心不全で呼吸困難,肺水腫をきたしたと考えられ,利尿剤投与,水分バランスのコントロールを行ったところ症状は改善し術後14日目には酸素投与を終了した.たこつぼ型心筋症は1990年に名づけられた疾患で原因は解明されていないが,心身のストレスが原因として想定されている.閉経後の女性に多く発症することが知られており,産婦人科領域での手術後に発症するケースがいくつか報告されている.本疾患の予後は一般的に良好と言われているが重篤となることもあるため,術後の合併症としてたこつぼ型心筋症を認識し早期発見早期治療を心がける必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 420-420, 2012


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