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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
傍大動脈リンパ節郭清術後に発症した乳糜腹水の3例
今井 賢, 藤原 寛行, 鈴木 はる奈, 野中 宏亮, 高橋 寿々代, 馬場 洋介, 町田 静夫, 種市 明代, 竹井 裕二, 嵯峨 泰, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
【緒言】乳麋腹水は腹部手術後や放射線治療の合併症として報告されている.今回我々は傍大動脈リンパ節郭清術後に発症した乳縻腹水を3例経験したので報告する.【症例1】60歳,子宮体癌に対して手術療法を施行,傍大動脈リンパ節が腫大していたため,郭清を下腸間膜動脈5cm頭側まで行なった(術後病理は類内膜腺癌(G1),pT1bN0M0).術後4日目に乳麋腹水を生じたため,禁食及び補液とした.9日間の禁食・補液後に経口摂取再開,以後乳縻腹水は再発せず,自然軽快した.【症例2】62歳,卵巣癌の診断で,NAC後に手術療法を行い,左腎静脈下縁までのリンパ節を郭清した(漿液性腺癌,pT3cN0M0).術後5日目に乳麋腹水を生じ禁食としたが,長期化が予想されたため中心静脈栄養を施行した.13日間の禁食・IVH後に経口摂取再開,以後乳縻腹水は再発せず,自然軽快した.【症例3】55歳,卵巣癌に対して左腎静脈下縁までのリンパ節郭清術を施行した(漿液性腺癌,pT3bN1M0).術後8日目で退院したが,術後14日目に腹部膨満で再入院し乳麋腹水と診断した.禁食,中心静脈栄養を行なったが,長期に渡り改善を認めないため,オクレオチドの投与を行なった.オクレオチド投与後は次第に症状が改善し,入院後30日目に経口摂取が再開出来た.【考察】術後乳縻腹水は稀な合併症であるが,発症すると患者のQOLを著しく低下させ,また後治療の開始を遅延させる.この3例が示すように,重症度により治療に対する反応は全く異なり,実際には治療方針決定に悩むことが多い.今回これら自験例に文献的考察を加えて報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
421-421, 2012
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