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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
東京都市部における40代妊婦の最近の動向
坂本 翼, 大川 智実, 岩本 豪紀, 赤股 宣子, 小林 織恵, 山崎 龍王, 田村 和也, 小林 弥生子, 梅澤 聡
武蔵野赤十字病院産婦人科
近年の晩婚化傾向や生殖補助医療の進歩により,生殖年齢後期での出産を希望する女性が増加している.本邦では2009年,母体40歳以上の分娩は全国で2.7%であり,近年なお増加傾向にあると報告されている.当院は,東京都市部に位置し,周辺地区はいわゆる東京都心のベッドタウンに相当する.今回我々は,当院における母体40歳以上の出産例を検討し,東京都市部での近年の分娩動向を考察したので報告する.対象は2008年1月から2011年12月の4年間に当院で扱った4894分娩,このうち,母体年齢が出産時40歳以上の症例は376例(7.7%)と,全国平均と比較しより高率であった.これらを2008年1月〜2009年12月の本検討期間前期2年間群,2010年1月〜2011年12月の後期2年間群の2群に分けて比較検討すると,各々母体40歳以上の割合は176/2462(6.9%),206/2432(8.5%)で,後期2年間群で有意に増加していた(p=0.039).また,各々の初産の割合も69/176(41%),108/206(52%)で,後期2年間群で有意に増加していた(p=0.02).また,本検討期間中,母体40歳以上群は母体40歳未満群に比べ,早産率(p=0.019),帝王切開率(p<0.01),新生児入院率(p=0.03)が有意に高率であった.当院での母体40歳以上の割合は全国平均に比べ高率であり,これは当院の置かれた地理的要素によるものと推察される.今回の我々の検討の結果,直近でも,東京都市部において40代分娩例はいまだに増加傾向にあり,それはおおよそ一割に迫る勢いである.中でも,初産例が増加傾向にあることが特筆される.40歳以上の分娩例は40歳未満例に比較し明らかにハイリスクであり,この社会状況に即した医療資源の活用が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
423-423, 2012
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