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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))
【一般演題】
当科における高年妊婦の状況と分娩予後
佐川 義英, 古村 絢子, 寺田 光二郎, 嘉本 寛江, 中村 泰昭, 落合 尚美, 中川 圭介, 中江 華子, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
【目的】近年,少子化が進む一方で,妊娠年齢は高齢化してきており,35歳以上の高齢出産が占める割合は1990年の8.6%から2010年には23.8%と約3倍となっている.特に35歳以上の初産は1990年の1.7%から2010年には8.1%と4倍以上増加している.そこで,当院の35歳以上の分娩について検討し,文献的考察を加えて報告する.【方法】当院で過去5年(2007年〜2011年)に分娩した35歳以上の症例を対象とし,母体の合併症,妊娠中の異常,分娩時の異常,新生児の異常などの因子について後方視的に診療録より検討した.また対象症例を2群に分け,初産・経産,30代・40代,不妊治療の有無について分類し比較検討した.【結果】分娩総数1347例中,35歳以上は28.6%(385例)であり,年度別にみると2007年22.9%(62/270例)2011年28.4%(80/281例)と増加している.当院での35歳未満の分娩症例と比較したところ,35歳以上では,帝王切開率31.9%(123/385例),早産率16.1%(62/385例)と有意に高く,初産婦の割合は33.2%(128/385例)では有意に低いことが認められた.初産・経産,30代・40代の2群間の比較では有意差は認められず,不妊治療の有無では多胎率が13.5%と不妊治療群で有意に高かった.また35歳以上では,妊娠高血圧症候群11.4%(44/385例),前置胎盤3.9%(15/385例)と高いことが示された.【考察】高齢妊娠では,早産率・帝王切開率の上昇が認められた.また妊娠高血圧症候群,前置胎盤の合併も多く,高齢分娩でのリスクが示唆された.しかし35歳以上の中での更なるハイリスク群は抽出されなかった.高齢妊娠には,このようなリスクがあることを念頭において診療にあたる必要があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(3)
424-424, 2012
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